2階線形同次微分方程式の解き方[微分方程式入門Part10]

微分方程式

本記事では運動方程式などを解くときなどに有用であり最も大事である2階線形同次微分方程式のさらに限定された形である定係数同次線形微分方程式の解き方について解説していく。

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2階線形同次微分方程式および定係数同次線形微分方程式

2階線形同次微分方程式とは以下の形で表される微分方程式である。\(\)

$$y”+P(x)y’+Q(x)y=0$$

1階線形同次微分方程式と同じ名前の由来であるが、\(y\)の2階微分\(y”\)までが含まれ、\(y”,y’,y\)が線形結合で表された微分方程式であるという意味である。

今回解くのはその中でもさらに限定された形である定係数同次線形微分方程式であるが、その形は以下のようになる。

$$y”+ay’+by=0\cdots①$$

つまり、2階線形微分方程式の\(P(x)\)に定数\(a\)を、\(Q(x)\)に\(b\)を代入したものが定係数同次線形微分方程式であり、この形の時に2階線形同次微分方程式は簡単に解くことができるのである。

ではその解法についてみてみよう。

定係数同次線形微分方程式の解き方

まず、定係数同次線形微分方程式を解くうえで以下の定理を知る必要があるだろう。

定理1

式①は2個の1次独立な特殊解をもち、一般解はそれらの1次結合で表される。

(1次独立な特殊解のことを基本解とよぶ)

つまり、この定理から2つの基本解を見つけることができれば一般解を求めることができるだろう。

以上のことを踏まえ基本解を見つけ一般解を求める解法について説明していく

解法

式①の基本解が\(y=e^{\lambda x}\)であると仮定して、\(y=e^{\lambda x}\)を式①に代入すると、

$$({\lambda}^2+a\lambda+b)e^{\lambda x}=0\cdots②$$

が成り立つ。

\(e^{\lambda x}\neq0\)より、式②が成り立つには

$${\lambda}^2+a\lambda+b=0\cdots③$$となればよい。

\({\lambda}^2+a\lambda+b=0\)を微分方程式の特性方程式という

式①の\(y”,y’,y\)をそれぞれ\({\lambda}^2,\lambda,1\)に置き換えれば特性方程式となる。

式③を満たす\(\lambda\)のときの\(e^{\lambda x}\)が基本解となるから、式②の解を\(\lambda_1,\lambda_2\)とすると、

⑴\(\lambda_1,\lambda_2\)が異なる2つの実数解であるとき

基本解は\(e^{\lambda_1 x},e^{\lambda_2 x}\)であるから、一般解は、

$$y=C_1e^{\lambda_1 x}+C_2e^{\lambda_2 x}$$

となる。

⑵重解\(e^{\lambda_1 x}\)を持つとき

基本解は\(e^{\lambda_1 x}\)(\(\lambda_1=-\frac{a}{2}\))であるが、一般解を求めるには2つの基本解が必要となる。

そこで1階微分方程式の定数変化法の解き方と同様に、新たに\(y=C(x)e^{\lambda_1 x}\)が式①の解であると仮定して、式①に代入すると

$$C”(x)e^{\lambda_1 x}+2\lambda_1C'(x)e^{\lambda_1 x}+{\lambda_1}^2C(x)e^{\lambda_1 x}\\+a(C'(x)e^{\lambda_1 x}+\lambda_1C(x)e^{\lambda_1 x})+bC(x)e^{\lambda_1 x}=0$$

整理して、

$$({\lambda_1}^2+a\lambda_1+b)C(x)e^{\lambda_1 x}+(2\lambda_1+a)C'(x)e^{\lambda_1 x}+C”(x)e^{\lambda_1 x}=0$$

\({\lambda}^2+a\lambda+b=0\)であるから、

$$(2\lambda_1+a)C'(x)e^{\lambda_1 x}+C”(x)e^{\lambda_1 x}=0\cdots④$$

が成り立つ。

ここで\(\lambda_1=-\frac{a}{2}\)であるから、(式③が重解であるため)\(2\lambda_1+a=0\)である。

ゆえに式④は、$$C”(x)e^{\lambda_1 x}=0$$となる。

\(e^{\lambda_1 x}\neq0\)であるから、\(C”(x)=0\)となれば\(y=C(x)e^{\lambda_1 x}\)が基本解となる。

ゆえに\(C(x)=x\)のとき\(C”(x)=0\)を満たす。ゆえにもう1つの基本解は\(xe^{\lambda_1 x}\)であるから、一般解は、

$$y=C_1e^{\lambda_1 x}+C_2xe^{\lambda_1 x}$$

である。

⑶\(\lambda_1,\lambda_2\)が虚数解であるとき

\(\lambda_1=\alpha+i\beta,\lambda_2=\alpha-i\beta\)であるとする。

オイラーの公式\(e^i\theta=cos\theta+isin\theta\)より、

$$\begin{eqnarray}e^{(\alpha+i\beta)x} &=& e^\alpha e^{i\beta x} \\ &=& e^\alpha(cos\beta+isin\beta)\end{eqnarray}$$

$$\begin{eqnarray}e^{(\alpha-i\beta)x} &=& e^\alpha e^{-i\beta x} \\ &=& e^\alpha(cos\beta-isin\beta)\end{eqnarray}$$

ここで、

$$\frac{1}{2}(e^{(\alpha+i\beta)x}+e^{(\alpha-i\beta)x})=e^{\alpha x}cos \beta x,\frac{1}{2i}(e^{(\alpha+i\beta)x}-e^{(\alpha-i\beta)x})=e^{\alpha x}sin \beta x$$

も特殊解、つまり基本解である。(重ね合わせの原理)

ゆえに、この2つの基本解の線形結合が一般解であるから、

$$y=e^{\alpha x}(C_1cos\beta x+C_2sin\beta x)$$

が求める答えである。

練習問題

次の微分方程式を解け。

$$⑴y”-2y’-3y=0\quad⑵y”+2y’+y=0\quad⑶y”+2y’+3=0$$

解答

⑴問題文の特性方程式\({\lambda}^2-2\lambda-3=0\)を解くと、

\((\lambda-3)(\lambda+1)=0\)であるから、\(\lambda=3,-1\)

よって基本解は\(e^{3x},e^{-x}\)である。

ゆえに求める一般解は

$$y=C_1e^{3x}+C_2e^{-x}(C_1,C_2は任意定数)$$

⑵問題文の特性方程式\({\lambda}^2+2\lambda+1=0\)を解くと、

\((\lambda+1)^2=0\)であるから、\(\lambda=-1\)

特性方程式は重解より、基本解は\(e^{-x},xe^{-x}\)である。

ゆえに求める一般解は

$$y=C_1e^{-x}+C_2xe^{-x}(C_1,C_2は任意定数)$$

⑶問題文の特性方程式\({\lambda}^2+2\lambda+3=0\)を解くと、

\(\lambda=-1\pm\sqrt{2}i\)であるから、

基本解は\(e^{-x}cos \sqrt{2}x,e^{-x}sin \sqrt{2}x\)である。

ゆえに求める一般解は

$$y=e^{-x}(C_1cos \sqrt{2}x+C_2sin \sqrt{2}x)(C_1,C_2は任意定数)$$

高次定係数同次線形微分方程式

以上の内容は高次元に拡張してもあてはまる。

n次元の高次定係数同次線形微分方程式は以下の形であり、

$$y^{(n)}+a_1y^{(n-1)}+\cdots+a_{n-1}y’+a_ny=0\cdots⑤$$

同様に以下の定理が成り立つ。

定理2

⑤はn個の1次独立な基本解をもち、一般解はそれらの1次結合で表される。

つまり、高次定係数同次線形微分方程式も特性方程式\(\lambda^{n}+a_1\lambda^{n-1}+\cdots+a_{n-1}\lambda+a_n=0\)について解き、n個の基本解を求めることができればそれらを1次結合し、一般解を導出することができるのである。

以下に例題を示そう。

例題

次の微分方程式を解け

$$y”’+2y”-y’-2=0$$

解答

問題の方程式の特性方程式\({\lambda}^3+2{\lambda}^2-\lambda-2=0\)を解くと、

\((\lambda-1)(\lambda+1)(\lambda+2)=0\)より、\(\lambda=1,-1,-2\)

よって基本解は\(e^x,e^{-x},e^{-2x}\)である。

ゆえに一般解は

$$y=C_1e^x+C_2e^{-x}+C_3e^{-2x}(C_1,C_2,C_3は任意定数)$$

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