2階線形非同次微分方程式の解き方[微分方程式入門Part11]

微分方程式

2階線形非同次微分方程式は2階線形同次微分方程式の右辺の0が関数に変わった以下のような形であり、\(\)

$$y”+P(x)y’+Q(x)y=R(x)$$

本記事ではその中で一般解が比較的簡単に求めることができる定係数非同次方程式の解法について説明していく。

長い数式は横スクロールで閲覧可能です

定係数2階線形非同次微分方程式

定係数2階線形非同次微分方程式は以下の形である。

$$y”+ay’+by=f(x)\cdots①$$

つまり定係数2階線形同次微分方程式の右辺の0が\(f(x)\)に変わった形である。

解法

式①の特殊解が\(\alpha(x)\)であると分かっているとすると、

$$\alpha”(x)+a\alpha'(x)+b\alpha(x)=f(x)\cdots②$$

が成り立つ。式①から式②を引くと、

$$(y”-\alpha”(x))+a(y’-\alpha'(x))+b(y-\alpha(x))=0$$

\(Y=y-\alpha(x)\)とおくと、上の式は

$$Y”+aY’+bY=0\cdots③$$

式③は定係数2階線形同次微分方程式であるから、③の基本解を\(Y_1,Y_2\)とおくと

式③の一般解は\(Y=C_1Y_1+C_2Y_2\)である。

ゆえに式①の一般解は、

$$y=C_1Y_1+C_2Y_2+\alpha(x)$$

である。

つまり、式①の特殊解が分かれば定係数2階線形同次微分方程式の解法から一般解を求めることができるのである。

では次に特殊解を見つける方法についてみてみよう。

特殊解の見つけ方

特殊解を見つける方法として挙げられるのが定数変化法である。

定数変化法

1階線形微分方程式のときと同様に、2階線形同次微分方程式の解\(y=C_1y_1+C_2y_2\)を用いて

\(C_1,C_2\)をxについての関数\(C_1(x),C_2(x)\)としたときの\(y=C_1(x)y_1+C_2(x)y_2\)が式①の特殊解であると仮定する。

1つの特殊解をみつけることが目的であるから、さらに条件を限定し候補を絞るために\(C’_1(x)y_1+C’_2(x)y_2=0\)が成り立つとすると、

$$\begin{eqnarray} y’ &=& C’_1(x)y_1+C_1(x)y’_1+C’_2(x)y_2+C_2y’_2 \\ &=& C_1(x)y’_1+C_2(x)y’_2 \end{eqnarray}$$

$$y”=C’_1(x)y’_1+C’_2(x)y’_2+C_1(x)y”_1+C_2(x)y”_2$$

となり、式①の左辺に代入すると、

$$\begin{eqnarray} y”+ay’+by=C’_1(x)y’_1+C’_2(x)y’_2 &+& C_1(x)y”_1+C_2(x)y”_2 \\ &+& a(C_1(x)y’_1+C_2(x)y’_2) \\ &+& b(C_1(x)y_1+C_2(x)y_2)\end{eqnarray}$$

整理すると、

$$\begin{eqnarray}y”+ay’+by &=& C_1(x)(y”_1+ay’_1+by_1) \\ &+&C_2(x)(y”_2+ay’_2+by_2) \\ &+&C’_1(x)y’_1+C’_2(x)y’_2\end{eqnarray}$$

\(y_1,y_2\)は2階線形同次微分方程式の解であり、

$$y”_1+ay’_1+by_1=0,y”_2+ay’_2+by_2=0$$

が成り立つから、

$$C’_1(x)y’_1+C’_2(x)y’_2=f(x)$$

となる。ゆえに、

$$\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} C’_1(x)y’_1+C’_2(x)y’_2=f(x) \\ C’_1(x)y_1+C’_2(x)y_2=0 \end{array}\right.\end{eqnarray}\cdots④$$

を満たす\(C_1(x),C_2(x)\)を求めれば特殊解を求めることができる。

式④から\(C’_1(x),C’_2(x)\)を求めると、

$$\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} C’_1(x)=\frac{y_2}{y’_1y_2-y_1y’_2}f(x) \\ C’_2(x)=\frac{y_1}{y_1y’_2-y’_1y_2}f(x) \end{array}\right.\end{eqnarray}$$

\(W(y_1,y_2)=\begin{vmatrix} y_1 & y_2 \\ y’_1 & y’_2 \end{vmatrix}\)とすると、

$$C_1(x)=-\int \frac{y_2f(x)}{W(y_1,y_2)}dx,\quad C_2(x)=\int \frac{y_1f(x)}{W(y_1,y_2)}dx$$

ゆえに式①の特殊解\(\alpha(x)\)は、

$$\alpha(x)=-y_1\int \frac{y_2f(x)}{W(y_1,y_2)}dx+y_2\int \frac{y_1f(x)}{W(y_1,y_2)}dx$$

以上から求める一般解は、

$$y=C_1y_1+C_2y_2-y_1\int \frac{y_2f(x)}{W(y_1,y_2)}dx+y_2\int \frac{y_1f(x)}{W(y_1,y_2)}dx$$

で表される。

練習問題

⑴特殊解を予測して以下の微分方程式を解け

$$y”-y’-2y=cosx$$

⑵定数変化法を利用して以下の微分方程式を解け

$$y”+y=e^xlogx$$

解答

⑴問題文の微分方程式の同伴方程式\(y”-y’-2y=0\)について、その特性方程式は

$${\lambda}^2-\lambda-2=0$$

$$(\lambda-2)(\lambda+1)=0$$

であるから、同伴方程式の基本解は\(e^{2x},e^{-x}\)である。

問題文の微分方程式の右辺は\(cosx\)であるから、特殊解が\(acosx+bsinx\)であると仮定し微分方程式に代入すると、

$$-acosx-bsinx+asinx-bcosx-2acosx-2bsinx=cosx$$

整理すると、

$$(a-3b)sinx+(-3a-b)cosx=cosx$$

が成り立つ。

$$\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} a-3b=0 \\ -3a-b=1 \end{array}\right.\end{eqnarray}$$

以上の条件を満たす\(a,b\)は\(a=-\frac{3}{10},b=-\frac{1}{10}\)であるから、特殊解は

$$-\frac{3}{10}cosx-\frac{1}{10}sinx$$

である。ゆえに求める一般解は

$$y=C_1e^{2x}+C_2e^{-x}-\frac{3}{10}cosx-\frac{1}{10}sinx$$

⑵問題文の微分方程式の同伴方程式\(y”+y=0\)の特性方程式は、

$${\lambda}^2+1=0$$

であるから、同伴方程式の基本解は\(cosx,sinx\)である。

問題文の微分方程式について特殊解を\(C_1(x)cosx+C_2(x)sinx\)であるとすると、

定数変化法より、

$$W(cosx,sinx)=\begin{vmatrix} cosx & sinx \\ -sinx & cosx \end{vmatrix}=1$$

であるから、

$$C_1(x)=-\int sinxcosxdx=-\int \frac{1}{2}sin2xdx=\frac{1}{4}cos2x$$

$$C_2(x)=\int cos^2xdx=\int \frac{cos2x+1}{2}dx=\frac{1}{4}sin2x+\frac{1}{2}x$$

ゆえに特殊解は、

$$\frac{1}{4}(cos2xcosx+sin2xsinx)+\frac{1}{2}xsinx=\frac{1}{4}cosx+\frac{1}{2}xsinx$$

以上から求める一般解は、

$$y=C_1(x)cosx+C_2(x)sinx+\frac{1}{4}cosx+\frac{1}{2}xsinx$$

コメント

タイトルとURLをコピーしました