演算子法を用いた高次定係数同次線形微分方程式の解き方[演算子法Part3]

微分方程式

演算子法による定数係数線形微分方程式の解き方

前回の記事で逆演算子とはなにか説明したときに言及したように、\(\)

定数係数線形微分方程式\(P(D)y=R(x)\)について、

$$y=\frac{1}{P(D)}R(x)$$

を逆演算子の基本定理および公式を用いることで解の一例である特殊解を求めることができます。

2階線形非同次微分方程式の解き方で説明した通り、特殊解を求める方法として定数変化法や解の予測による未定係数法がありますが、この演算子法による特殊解の導出は公式を使いこなすことでそれらの方法に比べてはるかに速く簡単に行うことができるのです。

実際に定数係数線形微分方程式を演算子法で解いてみましょう。

練習問題

次の微分方程式を解け

$$(1)y^{(3)}-\ddot{y}-2\dot{y}=e^{3x}$$

$$(2)(D^3+D)y=sinx$$

$$(3)(D^2+1)y=2x^2+1$$

解答

(1)

演算子\(D\)を用いると問題文の方程式は、

$$(D^3-D^2-2D)y=e^{3x}$$

と書ける。

変形すると、

$$D(D+1)(D-2)=e^{3x}$$

であるから特性方程式は、

$$\lambda(\lambda+1)(\lambda-2)=0$$

ゆえに、余関数は\(C_1+C_2e^{2x}+C_3e^{-x}\)である。

つぎに逆演算子を用いて特殊解を求める。

$$\begin{eqnarray} \frac{1}{D(D+1)(D-2)}e^{3x} &=& \frac{1}{D(D+1)}\left[\frac{1}{D-2}e^{3x}\right] \end{eqnarray}$$

\(\frac{1}{P(D)}e^{\alpha x}=\frac{1}{P(\alpha)}e^{\alpha x}\)を用いて、

$$\begin{eqnarray} y &=& \frac{1}{D(D+1)}e^{3x} = \frac{1}{D}\left[\frac{1}{4}e^{3x}\right] \\ &=& \frac{1}{12}e^{3x} \end{eqnarray}$$

ゆえに\(\frac{1}{12}e^{3x}\)は特殊解であるから、求める一般解は

$$y=C_1+C_2e^{2x}+C_3e^{-x}+\frac{1}{12}e^{3x}$$

(2)

この方程式の特性方程式は、

$$\lambda({\lambda}^2+1)=0$$

であるから、余関数は\(C_1+C_2cosx+C_3sinx\)である。

つぎに演算子を用いて特殊解を求める。

$$y=\frac{1}{D(D^2+1)}sinx$$

ここで、\(\frac{1}{D^2+a^2}sin{ax}=-\frac{1}{2a}xcosax\)より、

$$\begin{eqnarray}y&=&-\frac{1}{2}\frac{1}{D}(xcosx)\\&=&-\frac{1}{2}\int xcosxdx\\&=&-\frac{1}{2}(xsinx-cosx)\end{eqnarray}$$

ゆえに\(-\frac{1}{2}(xsinx-cosx)\)は特殊解であるから求める一般解は

$$y=C_1+C_2cosx+C_3sinx-\frac{1}{2}(xsinx-cosx)$$

(3)

この方程式の特性方程式は、

$${\lambda}^2+1=0$$

であるから、余関数は\(C_1sinx+C_2cosx\)である。

つぎに演算子を用いて特殊解を求める。

$$y=\frac{1}{D^2+1}(2x^2+1)$$

\(\frac{1}{D^2+1}=1-2D^2+\cdots\)とマクロリーン展開できるから、\(D^3\)以降は\(0\)になることを考えると

$$\begin{eqnarray}y&=&(1-2D^2+\cdots)(2x^2+1)\\&=&2x^2-7\end{eqnarray}$$

ゆえに\(2x^2-7\)は特殊解であるから求める一般解は

$$y=C_1sinx+C_2cosx+2x^2-7$$

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